2016年04月06日

保険会社が加齢性変性により30%の素因減額を主張したのに対し、当事務所が医証を取り付けて反論した結果、素因減額の主張を撤回させた事案~ご依頼者の声

 

 

 

「ご夫婦で車に搭乗中(夫運転、妻同乗)に交通事故に遭って頚椎捻挫

と腰椎捻挫を負い、夫婦共に頚部痛、腰部痛等の後遺症に苦しんでおら

れました。既に相手方保険会社より傷害部分の損害額の提示があり、ご

自身で示談交渉進めておられた段階で当事務所が受任。調査した結果、ご依頼者の声2(東 富士男)

ご夫婦共に後遺障害が認定される可能性があったため、当事務所が被害

者請求を行ったところ、いずれも14級9号の後遺障害を獲得すること

ができました。相手方保険会社に後遺障害部分を含めた損害賠償請求を

行ったところ、相手方は事故前からあった加齢による身体の変化が損害

を拡大させたとして30%の素因減額(損害の発生・拡大について被害

者の素因が関係している場合には、その素因を斟酌して損害額を減額す

ること)を主張。そこで、当事務所は主治医の意見書等を取り付けて、

本件ご夫婦の加齢性変性は素因減額すべき事情にあたらないことを立証

し、相手方保険会社の素因減額の主張を退けました。最終的に、夫につ

いては、相手方保険会社の当初の提示額より約95万円の増額、妻につ

いては約300万円の増額という形で解決を図ることができました。」

 

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2016年03月27日

ネットオークション事業を自営の男性の休業損害を算定するにあたり、賃金センサスの年齢別平均賃金を基礎とした事案~判例ニュース

 【京都地裁平成27年4月22日判決】(自保1951号141頁)

 

ネットオークション事業を営む29歳男子原告の休業損害につき、原告は、「本件事故による左膝打撲により、在庫管理等に支障を来したことが窺える」等から、「上記事情による収入は明らかでないものの、本件事故による受傷内容及び治療経過等に鑑み、平成23年賃金センサス男性高卒29歳の年収額を基礎とし、1か月の限度で休業損害と認める」と1か月分の休業損害を認定した事案。

 

コメント: 自営業者(事業所得者)の休業損害は、「現実の収入減があった場合に認められる」とされていますが、自営業者の方が事故による「現実の収入減」を立証することは容易ではありません。とくに、本件は、原告(被害者)の自営業としての従事期間が短く、基礎収入の根拠となる相当な資料(確定申告書、納税証明書等)を提出することができなかったうえ、ネットオークション事業という収入が不確定な性質上、現実の収入減を明らかにすることは極めて困難なケースでした。そこで、裁判所は、原告の学歴・年齢の男性の平均賃金(賃金センサス)を基礎に休業損害を算定しました。このように、現実の収入減や所得額の立証が困難な場合には、平均賃金を基礎に算定した一定の休業損害が認められる可能性がありますので、保険会社に休業損害の支払いを拒否された場合でも交渉、裁判を検討する余地はあります。もっとも、休業期間については、受傷内容や治療経過等を考慮して判断されるため、治療期間全てが休業期間として認められるとは限りません。本件では、症状固定日までの治療に6か月を要しましたが、休業期間として認められたのは1か月にとどまりました。

 

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2016年03月13日

交通事故外傷で外貌醜状を残した男性について逸失利益の発生を認めた事案~判例ニュース

 【さいたま地裁平成27年4月16日判決】(自保1950号84頁)

 

交通事故により口唇付近に線状痕が残存し、外貌醜状障害として9級16号に該当するとの認定を受けた41歳(症状固定時)の男性(原告)について、①原告の後遺障害である外貌醜状は、口唇部に残存している5センチメートル以上の線状痕であり、人目につくものであること、②原告の現在の職業が自動車運転手(貨物の搬出,搬入,運送)であるところ、原告の後遺障害である外貌醜状によって、初対面に近い顧客との折衝に消極的になっていること、③社内の評判が落ちて将来の昇進や転職に影響したりする可能性が否定できないことを指摘した上で、「男性においても外貌醜状をもって後遺障害とする制度が確立された以上、職業のいかんを問わず、外貌醜状があるときは,原則として当該後遺障害等級に相応する労働能力の喪失があるというのが相当」との判断を示し、労働能力喪失率35パーセントを前提として逸失利益を認めた。

 

コメント: 交通事故で人目に触れる部位に傷跡を残し、一定の要件を満たした場合には、外貌醜状障害として後遺障害等級に認定されます。

2011年までは、男性の著しい醜状障害は、女性の7級よりも低い12級と定められるなど、男女間の取り扱いに差がありました。後遺障害等級上の男女差は、2011年の労災保険施行規則「障害等級票」の改正により撤廃されましたが、男性の外貌醜状障害事案は、女性に比べるとまだまだ逸失利益が否定される傾向にあります。これは、男性に傷跡があったとしても、女性ほど対人関係や仕事に影響が生じないとの考えに基づくものと考えられます。 しかし、男性であっても外貌醜状があることで業務の幅が限定されたり、昇進・転職上不利益を被ったりすることは十分にあり得ることであり、また、対人関係の構築に消極的になる可能性も否定できません。

本裁判例は、男性の外貌醜状であっても、職業を問わず(接客業等に限定せず)逸失利益を認めた時点で意義が大きいといえます。

 

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2015年11月19日

交通事故から4カ月後に発症した「右下肢の麻痺」の症状につき、交通事故との因果関係を否認、請求を棄却した事案~判例ニュース

 【名古屋地裁平成27年3月25日判決】(自保1949号129頁)

 

原告は、乗用車を運転停止中に追突され、腰椎椎間板ヘルニア等から歩行障害を残したとする事案につき、「右下肢の麻痺に関する訴えは、本件事故から約4ヶ月を経過した平成22年12月に歩行障害や右下肢の筋力低下が認められ、約5ヶ月経過した平成23年1月に歩行障害及び右足関節以下完全麻痺が生じ、約15ヶ月経過した平成23年11月に左下肢に筋力低下、右下肢の感覚が消失したというのであり、本件事故から発症までに相当の時間が経緯している上、次第に症状が悪化して拡大している。通常、外傷による症状は、受傷後が最も強く、次第に軽快するか不変であるという経過をたどるところ、原告の上記症状の経過はこれと異なるものであり、本件事故による外傷から生じた症状とは考えがたい」などとして、原告の腰椎椎間板ヘルニアと本件事故との相当因果関係を否認し原告の請求を棄却した。

 

コメント:自賠責においても裁判所においても、後遺障害の認定上、「通常、外傷による症状は、受傷後が最も強く、次第に軽快するか不変であるという経過をたどる」という点は大変重視されており、本件のように、①事故からしばらくして症状が発現した場合、②時間の経過とともに症状が重くなっていった場合は、症状と事故との因果関係が否定される傾向にあります。

被害者からしてみれば、事故前はそのような症状はなく、事故をきっかけに発症したにもかかわらず、事故と関係ないとして治療費等の損害が認められないのは到底納得できないことでしょう。交通事故解決の難しさは、「どこからどこまでが適正な損害か」を線引きする難しさにあります。被害者側としても、やみくもに損害・被害を訴えれば何でも認められるわけではないことを理解する必要があります。

「ご自身にとって適正な損害とは?」と疑問を抱いたら、お早めに弁護士に相談ください。

 

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2015年11月11日

歩道の車道側を走行しなかった自転車の過失を15%と認めた事案~判例ニュース

 【名古屋地裁平成27年3月30日判決】(自保1948号70頁)

 

路外駐車場から右側の安全確認後に左折しようとした被告乗用車と歩道左から進行してきた原告自転車との衝突につき、「自転車は歩道を通行する場合、歩道の中央から車道寄りを走行しなければならないとされており、原告はこの規定に反した走行をしていたといえ、路外から歩道に進入する被告車両からは、原告のかかる違反によりその発見が容易ではなくなるのであって本件事故との関係でこの点を原告の過失として考慮せざるを得ない」として、歩道右側走行の原告自転車に15%の過失を認めた事案。

 

コメント:車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合等は、自転車であっても歩道を走行することが認められます。この場合、自転車はどちらの向きで通行しても構いません。つまり、歩道を走行する場合は右側走行も許されています。ただし、道路交通法上、歩道を走行する場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならないと定められています(道路交通法第17条第4項及び18条第1項)。意外と知られていない点だと思いますが、自転車で走行する際はご注意ください。

 

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