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14秒前には赤信号に変わっていた速度超過の被告乗用車に衝突され死亡した青信号に変わる1秒前に発進の原付自転車の過失を軽微として否認した事案
【京都地裁平成30年11月26日判決】(自保2040号120頁)
〔事案の概要〕
60歳男子会社経営の亡Aは、信号交差点を原付自転車を運転して赤信号で停止し、青信号に変わる1秒前に発進したところ、右方交差道路から赤信号で進入してきた被告運転の速度超過乗用車に衝突され、外傷性脳内出血等を負い、39日入院後に死亡した
〔判決の要旨〕
「Aにおいても、信号機の表示する信号に従わなければならず、赤信号の場合は停止位置を越えて進行してはならず、赤信号で発進し、本件交差点に進入した事実を指摘できる。しかしながら、全赤状態での、青信号に変わる1秒前の発進であり、信号の変わり目の見込み発進であって、本件交差点の形状や信号サイクルからすれば、比較的軽微な落ち度である。
これに対し、被告には、各過失があり、とりわけ14秒前には対面信号が赤信号に変わっていたというのであるから、被告の過失は極めて重大で、危険極まりない運転と言わざるを得ない」として、「Aの前記落ち度を考慮するのは適切ではなく、本件事案で過失相殺を認めることはできない」とA原付自転車の過失を否認した。
[コメント]
双方が赤信号の直進車である場合、通常、過失相殺されることになり、その過失割合は痛み分けの50:50になることも少なくありません。
しかし、本事案では、被告に赤信号違反のほか、著しい前方不注視、時速30キロメートルの速度超過の過失がある上に、14秒前には対面式信号が赤進行に変わっていたこと、一方、原告は全赤状態での信号の変わり目の見込み発進をしたもので、青信号に変わるわずか1秒前の発進であったことを比較考慮し、本事案で過失相殺を認めることはできないとして原告の過失を否認しました。
交通事故事案では、まれに双方青主張や双方赤主張により過失割合が争いになることがあります。
その場合、車載カメラがあればいいのですが、ない場合は刑事記録、事故現場付近の防犯カメラの映像、信号サイクル表を取り付けて双方の言い分の裏付けをとることになります。
本事案においても、防犯カメラの映像と信号サイクル表が過失割合の認定上採用されています。
刑事記録や信号サイクル表は弁護士の職権で取り付けることができますから、事故の調査をしたい方は、専門の弁護士に相談するとよいでしょう。
信号機のある交差点であっても、見込み発進するのは危険です。発進する前に、左右をよく確認し安全に注意して発進しましょう。
あずま綜合法律事務所では、双方青主張の事案で自賠責保険金を獲得するなど交通事故事案の実績が豊富です。交通事故問題でお悩みの方は、あずま綜合法律事務所にご相談ください。
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弁護士法人 あずま綜合法律事務所
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