2015年11月19日

交通事故から4カ月後に発症した「右下肢の麻痺」の症状につき、交通事故との因果関係を否認、請求を棄却した事案~判例ニュース

 【名古屋地裁平成27年3月25日判決】(自保1949号129頁)

 

原告は、乗用車を運転停止中に追突され、腰椎椎間板ヘルニア等から歩行障害を残したとする事案につき、「右下肢の麻痺に関する訴えは、本件事故から約4ヶ月を経過した平成22年12月に歩行障害や右下肢の筋力低下が認められ、約5ヶ月経過した平成23年1月に歩行障害及び右足関節以下完全麻痺が生じ、約15ヶ月経過した平成23年11月に左下肢に筋力低下、右下肢の感覚が消失したというのであり、本件事故から発症までに相当の時間が経緯している上、次第に症状が悪化して拡大している。通常、外傷による症状は、受傷後が最も強く、次第に軽快するか不変であるという経過をたどるところ、原告の上記症状の経過はこれと異なるものであり、本件事故による外傷から生じた症状とは考えがたい」などとして、原告の腰椎椎間板ヘルニアと本件事故との相当因果関係を否認し原告の請求を棄却した。

 

コメント:自賠責においても裁判所においても、後遺障害の認定上、「通常、外傷による症状は、受傷後が最も強く、次第に軽快するか不変であるという経過をたどる」という点は大変重視されており、本件のように、①事故からしばらくして症状が発現した場合、②時間の経過とともに症状が重くなっていった場合は、症状と事故との因果関係が否定される傾向にあります。

被害者からしてみれば、事故前はそのような症状はなく、事故をきっかけに発症したにもかかわらず、事故と関係ないとして治療費等の損害が認められないのは到底納得できないことでしょう。交通事故解決の難しさは、「どこからどこまでが適正な損害か」を線引きする難しさにあります。被害者側としても、やみくもに損害・被害を訴えれば何でも認められるわけではないことを理解する必要があります。

「ご自身にとって適正な損害とは?」と疑問を抱いたら、お早めに弁護士に相談ください。

 

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