2016年09月19日

交通事故で右足関節外側側副靭帯損傷、頚椎捻挫、左前胸部挫傷、左膝部挫創、両膝部挫傷等の傷害を負った30代女性の事案~ご依頼者の声

 

 

ご依頼者の声(アンケート用紙)←クリック

 

ご依頼者女性は、たくさんの傷害を負ったにもかかわらず、仕事を休んだら職場に迷惑がかかる。首になっても困るとの理由で、事故後も痛みを我慢して出勤したため、十分に通院治療を受けることができませんでした。事故後から治療を中止するまでの治療期間は143日間でしたが、うち通院できたのはわずか14日で、保険会社から提示されたのは14日(通院日数)×2×4200ご依頼者の声2(東 富士男)円(日額)=11万7600円でした。この額で示談をしようと思っていたところ、弁護士費用特約に加入されていたため、示談前に当事務所にご相談をいただきました。

当事務所が、傷害の内容・程度、治療の必要性、通院ができなかった事情等を主張して相手方保険会社と交渉を行ったところ、慰謝料を30万円以上増額させることができました。弁護士費用特約に入られていたため、弁護士費用を一切手出しする必要もなく、相談してよかったと大変喜んでいただけました。

 

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2016年08月25日

歯科開業医の休業損害について判断した事案~判例ニュース

 【東京地裁平成27年11月25日判決】(自保1966号121頁)

 

[事案の概要]

車の運転中に乗用車に追突された男子歯科開業医のXは、頚椎捻挫の傷害を負ったために、事故後の7日間は全日休業とし、2日間は短時間診療とすることを余儀なくされた。また、その後50日間は1時間の短縮営業を行った。

 

[判決の要旨]

「交通事故に係る事業者の休業損害を算定するには、基礎収入として事故前の申告所得額に固定費用を加算した金額を採用し、営業日数で割って1営業日当たりの所得を算出し、交通事故により休業した状況を、営業日数あるいはその休業割合に応じて換算するなどして、1営業日当たりの所得に応じて算出するのが相当である。」「Xが全日休業とした7日間は、前記所得の100%、短時間診療に止まった2日間はその50%、概ね1時間が短縮された50日間はその15%の休業損害が発生したと認めるのが相当である。」

 

 

コメント:事業所得者(商工業者、農林・水産業者、自由業者などの個人事業主)の休業損害は、現実の収入減があった場合に認められるとされています。何をもって「現実の収入減」とするかについては事案ごとに判断されることになりますが、事業所得者の場合、事故による「現実の収入減」を明確に立証し難く、休業損害の算定が困難な場合が多いのが現状です。この判決は、次のように、1営業日当たりの所得に休業日数ないし休業割合を乗じて得た額を休業損害とすると判断しました。

 

(前年度の申告所得+固定経費)÷年間営業日数×休業日数=休業損害

       └1営業日当たりの所得

 

そして、全日休業の場合は1営業日当たりの所得の100%を休業損害と認定し、8時間営業のうち1時間を短縮した場合は、1営業日当たりの所得の8分の1、すなわち15%を休業損害と認定しました。休業期間中どの程度労働能力を喪失していたか、事故前後の収入の差額がどうであったか等については踏み込んだ判断をしておらず、非常にシンプルな算定方法として参考になります。

 

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2016年07月18日

入院直後の病室内独歩等から両膝半月板損傷との因果関係を否認した事案~判例ニュース

 【東京地裁平成27年12月18日判決】(自保1966号105頁)

 

被告運転の乗用車に追突され、頚椎捻挫、両膝半月板損傷等の傷害を負い、約1年4ヶ月入通院した原告の損害賠償請求につき、裁判所は、原告の両膝半月板損傷と本件事故との因果関係を否認した事案。裁判所が事故と両膝半月板損傷と本件事故との因果関係を否認した理由として挙げたものを整理すると次のとおりです。

 

①レントゲン検査で骨折は認められなかった

②事故日は平成20年11月2日であるところ、同月7日に初めて両膝の痛みを訴えている

③トイレ、入浴、歩行、階段等のADL(日常生活動作)全て「自立」と評価されている

④医師や看護師の前以外では、すたすたと独歩していた

⑤B病院の医師は、原告に対し、現在の膝の痛みが本件事故を原因であると診断書に書けない旨の見解を伝えた上で、診断書において半月板損傷の病名は記載されなかった

⑥運転席部分に損傷は見られず、現に、原告は、シートベルトをしていたため本件事故により臀部が少し浮き上がる程度であったと供述している

 

コメント: 原告は、本件事故後から両膝痛等の症状を述べていたこと、転院先のC病院の医師が作成した診断書に傷病名として右膝半月板損傷と記載されていることを理由に、治療費等の損害の支払いを求めましたが、裁判所は上記の事情を理由に、両膝半月板損傷と本件事故との因果関係を否認し、半月板損傷に要した治療費等を損害として認めませんでした。傷病と事故との因果関係が認められるかについては、受傷の原因である事故態様、症状が現れた時期、医師の診断・検査結果、症状の推移状況等、様々な事情を総合考慮して判断されることになります。たとえ、その症状が事故後に生じたものであり、また、医師が傷病名として診断書に記載した上で治療を行った場合であっても、全ての傷病が事故によるものとして損害賠償の対象となるとは限りません。裁判においては、当事者双方の主張内容や提出された様々な証拠が精査されます。証拠の一つであるカルテに詐病を疑わせる記載があったとして、因果関係を否定されるケースもあるのです。

 

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2016年06月19日

高次脳機能障害を負い自賠責で7級と認定された52歳男子原告につき、12級相当と認定した事案~判例ニュース

 【京都地裁平成27年3月25日判決】(自保1948号1頁)

 

原告は事故で高次脳機能障害を負い、自賠責保険損害保険料率算出機構において、後遺障害等級第7級と認定されていたが、本件事故から約2週間後の神経心理学的検査の結果は高次脳機能障害を否定するものであったこと、原告が復職後2年間問題なく稼働したり、1人でバイクに乗ったり、目的をもって外出するなど、注意障害や記憶障害による社会生活上の支障は限られたものと解されること等を理由に、「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の傷害を残すもの」として、後遺障害等級12級と認めるのが相当とされた事案。

 

コメント:自賠責保険で後遺障害等級が認定されたら、その等級に応じてきちんと損害賠償が支払われるものだと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、裁判になった場合、裁判官は、自賠責保険の判断に拘束されず、証拠と自身の自由な心証に基づき判断を下すことができるのです。裁判をした結果、自賠責の認定よりも等級が上がることもあれば、本件のように下がる場合もありますので、訴訟提起に踏み切る前に十分な検討をする必要があります。

 

参考:後遺障害等級7級4号

「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

 

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2016年05月22日

2年間就労準備等見られない47歳男子について、就労の蓋然性を認定するのは困難として逸失利益を否認した事案~判例ニュース

 【大阪地裁平成27年3月26日判決】(自保1948号144頁)

 

自賠責14級10号認定を受け、5年間5%の逸失利益を求めた47歳男子原告(家電修理工としての稼働歴あり)につき、稼働していないに等しい期間が2年間も継続していたこと、今後の就労の予定も立っていないこと、就労に向けた資格取得の準備も進んでいないこと等を理由に、「原告が近い将来に、ある程度まとまった収入を得られる仕事に従事できた蓋然性を認定するのは困難である」として、逸失利益を否認した事案。

 

コメント: 「逸失利益」とは、事故がなかったら被害者が得られたであろう利益をいい、基本的には、基礎収入額を基に算定されます。失業者、無職者は、事故当時収入を得ていないものの、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があるものについては一定の逸失利益が認められるとされています。本件においては、労働能力及び労働意欲がまったくないとまではいうことはできないと認められたものの、2年間の失業期間と近い将来の就労する見込みの乏しさを考慮され逸失利益は認められませんでした。

 

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