2016年06月19日

高次脳機能障害を負い自賠責で7級と認定された52歳男子原告につき、12級相当と認定した事案~判例ニュース

 【京都地裁平成27年3月25日判決】(自保1948号1頁)

 

原告は事故で高次脳機能障害を負い、自賠責保険損害保険料率算出機構において、後遺障害等級第7級と認定されていたが、本件事故から約2週間後の神経心理学的検査の結果は高次脳機能障害を否定するものであったこと、原告が復職後2年間問題なく稼働したり、1人でバイクに乗ったり、目的をもって外出するなど、注意障害や記憶障害による社会生活上の支障は限られたものと解されること等を理由に、「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の傷害を残すもの」として、後遺障害等級12級と認めるのが相当とされた事案。

 

コメント:自賠責保険で後遺障害等級が認定されたら、その等級に応じてきちんと損害賠償が支払われるものだと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、裁判になった場合、裁判官は、自賠責保険の判断に拘束されず、証拠と自身の自由な心証に基づき判断を下すことができるのです。裁判をした結果、自賠責の認定よりも等級が上がることもあれば、本件のように下がる場合もありますので、訴訟提起に踏み切る前に十分な検討をする必要があります。

 

参考:後遺障害等級7級4号

「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

 

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