2019年12月04日

夜間、信号のない交差点での優先道路進入12歳児自転車と乗用車の出合頭衝突で無灯火自転車に5割の過失を認定した事案

【神戸地裁平成31327日判決】(自保2050101頁)

 

〔事案の概要〕

12歳男子Xは、ヘルメットを着用せず、無灯火のまま自転車を運転して下り坂を本件交差点に向かって下り、徐行とはいえない速度で本件交差点に進入した、被告は、一定程度超える速度で南北道路を進行していたところ、やや左前方約20メートルの地点(衝突地点から約16.4メートル手前の地点)において本件交差点に進入しようとするXの存在に気付き、急ブレーキをかけるとともにハンドルを右に切って衝突を回避しようとしたが間に合わず、被告車の前部左側がX及び本件自転車に衝突した。その結果、Xは脳挫傷、遷延性意識障害、左肺気胸の傷害を負った。

 

〔判決の要旨〕

Xは、優先道路である南北道路を通行する被告車の進行妨害をしてはならず、また、本件交差点に進入する際に徐行しなければならなかったにもかかわらず、これを怠って徐行等することなく本件交差点に進入した過失が認められる」とし、他方、「被告には前方不注視、交差点進入の際の安全運転義務違反は認められる」として、「本件事故発生時に夜間で暗く、Xが前消灯を点灯させた被告車を発見することは容易であったのに対し、本件自転車は無灯火であり、被告がXを発見することは困難であったこと、他方で、Xは本件事故当時12歳でその判断能力や身体能力が未熟であったこと、被告が制限速度を一定程度超過する速度で走行していたことなどを総合考慮すると、本件事故の過失割合はX50%、被告50%と認める」とX自転車に5割の過失を認定した。

 

[コメント]

自転車は、自動車と比べると交通弱者であることから、自動車側が優先道路であったとしても信号のない交差点で自動車と自転車とが出合い頭に衝突した場合の基本過失割合は四輪車が60%、自転車が40%となります。

しかし、本件は夜間に自転車が無灯火であることから被告がXを発見することは困難であったこと等に鑑み、自転車側に不利に10%の過失修正が行われました。

自転車は車両という意識が低いのか、夜間無灯火の自転車をみかけることも少なくありませんが、道交法上自転車も車両であり、夜間(日没時から日出時まで)の無灯火は道交法違反となります(道交法52条)。

夜間の無灯火走行は、被害者だけでなく加害者にもなり得る大変危険な行為です。

事故を防ぐためにも暗くなったら早めの灯火を心がけましょう。

 

 

 

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