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3級高次脳機能障害を残す4歳児の後遺障害逸失利益及び将来介護費用を定期金賠償で認定した事案
【札幌高裁平成30年6月29日判決】(自保2028号 1頁)
[事案の概要]
4歳の男児Xが市道を歩行横断中、大型貨物車に衝突され、脳挫傷、びまん性軸索損傷等から自賠責3級3号認定の高次脳機能障害を残したため、両親が、後遺障害逸失利益及び将来介護費用の定期金賠償での支払いを求めて訴えを提起した。
双方控訴の2審裁判所は、Xの後遺障害逸失利益及び将来介護費用を1審同様に定期金賠償による支払いで認めた。
[コメント]:「定期金賠償」とは、 たとえば交通事故で発生した損害の賠償方法として、一回の支払いで賠償する「一時金賠償」に対して、将来にわたって定期的に分割で賠償することをいいます。
たとえば、車椅子の買い換え費用、車の改造費用、施設の入所費用などの「将来介護費用」は、将来的に変動する可能性が高く、現実に必要とする金額の算定が困難であるとして、定期金賠償という形で支払いを命じる判決も散見されます。
今回は、将来介護費用だけでなく、「後遺障害逸失利益」についても定期金賠償での支払いを認めた点で貴重な判決といえます。
なお、本判決は、「後遺障害逸失利益」についても定期金賠償認めるにあたって、
「①本件における後遺障害逸失利益については将来の事情変更の可能性が比較的高いものと考えられることや、
②被害者側が定期金賠償によることを強く求めていること、
③これは後遺障害や賃金水準の変化への対応可能性といった定期金賠償の特質を踏まえた正当な理由
によるものであると理解することができること、
④本件において後遺障害逸失利益について定期金賠償を認めても、
保険会社の損害賠償債務の支払管理等において特に加重な負担にはならないと考えられること
などの事情を総合考慮」しました。
定期金賠償には、事情の変更(例えば物価の上昇)に対応可能できる、中間利息を控除されないといったメリットがある一方、
逆に事情(被害者の死亡や必要な費用の減少)によって減額される可能性もあります
定期金賠償にすべきか否かは慎重な検討が必要ですので、お困りの方は、ぜひあずま綜合法律事務所にご相談ください。
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弁護士法人 あずま綜合法律事務所
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