2016年10月25日

2歳男児の駐車場での死亡事故につき被害者側の過失は1割と認定した事案~判例ニュース

 【福岡地裁平成27年5月19日判決】(自保1947号120頁)

 

2歳男児Aが店舗駐車場内の走行スペースにパンを食べながら座り込んでいたところ、被告運転の乗用車に轢過されて死亡したという事故につき、裁判所は、被告は、「被告車両に乗り込み、これを進行させるまでの過程において、周囲に幼児の有無を確認した上で、発進進行までの間に幼児が視覚に入り込んでしまう可能性を念頭に置き、その有無・動静に注意しておく義務があるところ、被告は、これを怠ったまま漫然と被告車両を発進させた過失があると認められる。他方、被害者側であるB(母親)においても、事故の発生防止を車両運転者の注意のみに委ねるのではなく亡Aの動静に注意しておく義務があったと認められる」として、過失割合は、被告が9割、原告Bが1割と認定しました。

 

コメント: 本件のような、親が目を離したすきに幼い子供が交通事故に巻き込まれるという痛ましい事故は後を絶ちません。運転者と親のいずれにも取り返しのつかない重大な落ち度があったといえますが、裁判所は、幼児等のいわゆる交通弱者を含む往来の多い駐車場内での事故であったこと、自動車の運転には大きな危険を内包することを理由に、加害者に9割の過失があるとしました。     

本件の被告車両には、衝突防止ソナーが搭載されていましたが、今回の悲惨な死亡事故は発生しました。私たち運転者は、危険な車を運転する以上高い注意義務を負うということを常日頃から自覚し、衝突防止ソナーがあると否とを問わず、十分な安全確認を為さなければなりません。

 

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