交通事故コラム

2018.01.11更新

対人事故と対物事故とで過失割合が異なってもいいの?

 「過失割合」とは、事故の原因の割合をいいます。

たとえば、一方の車両が赤信号停止中の追突事故の場合、被追突車側に事故の原因はありませんから、過失割合は、被追突車:追突車=0:100ということになります。

過失割合は、事故態様に応じ客観的に決められます。実務では、裁判例の集積を基に作成された「過失相殺等の認定基準」(別冊判例タイムズ№38)に実際の事故態様を照らし合わせて、厳密に過失割合を決することが多くあります。

このように、過失割合は、客観的なものですので、1つの事故における対人と対物の過失割合は本来同じでなければならないといえます。

 裁判では、過失割合を裁判官が当事者の主張、証拠に基づき慎重に認定をしますので、対人と対物の過失割合で異なる認定がなされることはありません。

 しかし、示談は、当事者の合意で解決をすることですので、当事者同士の話し合いで示談をする場合は、お互いの話し合いで対人・対物で異なる過失割合で解決をすることも可能です。

物損の場合、人損と比べると損害額が少額であること、過失割合で揉めて車両の修理代の支払がなされないと、いつまでたっても車両を修理することができず不都合であることを理由に、一方が譲歩して過失割合を決め早期解決を図ることも少なくありません。一方、人損の場合は損害額が大きく、過失割合が少しでも変わると被害者の治療費や休業損害などの賠償に影響が生じてしまいます。そのため、対人事故の場合は、刑事記録の取り付けや事故調査・鑑定を入れるなどして双方が過失割合の主張・立証に努め、話し合いが長期化する傾向にあるといえます。

 

(まとめ)

1つの事故の対人と対物では、過失割合は本来同じであるはずですが、早期解決や被害者保護などの見地から、当事者同士の話し合いで対物・対人で異なる過失割合を決めて解決をするのも差し支えありません。

保険会社が提示した過失割合が必ずしも正しいとは限りません。過失割合の判断にあたっては、法律的・専門的な検討が必要になりますので、専門家である弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

 

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