交通事故コラム

2015.03.06更新

交通事故治療に健康保険を使うべきか

ご相談者の方から、「保険会社から健康保険を使うように言われたが、使った方がいいのか。」という質問をよく受けることがあります。

自分は被害者なのに、なぜ自身の健康保険を使わなければならないのか、と抵抗をもたれる方も多いようですが、ご自身の健康保険を使うことで何らかの不利益が生じてしまうということではありません。

健康保険を使わない場合は、「自由診療」という形で治療を受けることになりますが、健康保険を使って治療を受ける場合と、自由診療を受ける場合との決定的な違いは治療費の金額です。健康保険を使う場合、治療費の基準となる医療点数の単価は、1点あたり10円であるのに対し、自由診療の単価は病院ごと異なり、1点あたり平均20円と健康保険を使う場合の2倍程度となっています。治療費が高くなることで最も影響を受けるのは、自分にも過失責任がある場合です。たとえば、ご自身に4割の過失があり、自由診療による治療費が100万円であったとします。この場合、自分の過失割合に相当する40万円については最終的にご自身で負担することになります。

これに対し、健康保険を使う場合は、治療費が半額の50万円程度となり、自分が負担すべき金額(過失割合に相当する金額)を20万円程度に抑えることができることになります。病院の窓口で、「事故の場合は自由診療と決まっているので、健康保険は使えません。」と言われ健康保険を使えなかった、という被害者の方のお話を耳にすることがありますが、交通事故の治療でも健康保険を使える場合がほとんどであり、病院側の説明が誤っていた可能性も否定できません。なお、通勤中や業務中の事故の場合は、健康保険ではなく労災保険が適用される可能性があります。

 

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