交通事故コラム

2016.02.12更新

~ご自身が加入している保険を活用する

交通事故被害に遭われたときは、加害者(加害者加入の保険会社)から損害賠償してもらうのが通常ですが、ひき逃げや相手方が無保険の場合、加害者と争っている場合など、何らかの理由によって加害者側からスムーズに損害を賠償してもらえないケースもあります。そのような場合は、まず利用できる保険はないかを必ず確認するようにしましょう。

 

 〇 労災保険

勤務中や通勤中に交通事故被害に遭った場合には、労災保険が適用される可能性があります。労災保険が使える場合、ご自身にも過失がある場合であっても、過失相殺されることなく治療費や休業損害(平均賃金の60%に相当する額+休業特別給付金と して平均賃金 の20%相当額)を支払ってもらえるため、過失割合に争いがある場合にはメリットが大きいといえます。ただし、労災保険から休業損害として支給されるのは、平均賃金の60%に相当する額と特別給付金として支給される平均賃金の20%分を合わせた80%にとどまります。

基本的に、損害の二重取りは許されないため、労災保険金を受給した後に相手方に損害を請求する際には、損害額から受給した労災保険金が差し引かれることに なる(これを「損益相殺」といいます。)のですが、特別給付金については、損益相殺されることはありません。8割分の休業補償を受けた場合であっても、損害額から差し引かれるのは6割分にとどまり、残りの4割分を加害者側に請求することができるのです。つまり、被害者としては、結果的に平均賃金の120%に相当する額を受給できることになります。さらに、交通事故が原因で後遺障害が残った場合は、その障害の程度に応じ、「障害補償給付」、「障害特別支給金」が支給され、重度の後遺障害の要件を満たす場合には、「障害補償年金」が支給され、将来の生活費に充てることが可能です。

労災保険が適用される事案であるにもかかわらず、「会社に労災は使えないと説明された」、「上司から労災を使わないでほしいと頼まれた」として、労災保険を使わない方もいらっしゃるのが現実です。しかし、労災保険を利用するメリットは大でありますので、困ったら、労働基準監督署や専門家に相談されることをお勧めします。

 

〇 人身傷害(補償)保険

人身傷害(補償)保険は、人身事故で被った損害について、過失割合にかかわらず基準に応じた額が支払われるというものです。自らにも過失がある場合、自己の過失割合分については、加害者側に損害賠償請求をすることができません。しかし、ご自身で加入の保険に人身傷害(補償)保険が付いていれば、加害者側に補償してもらえなかった自己の過失割合分を各保険会社が定める基準の範囲で補填してもらうこと ができるのです。また、当事者間で過失割合に争いがあり、加害者側保険会社が対応を拒んでいる場合なども、人身傷害(補償)保険があればスムーズな支払い をしてもらうことが可能です。

 

 〇 搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険は、交通事故により運転者や同乗者が死傷したとき、入院・通院日数、または部位症状別に定額の保険金が支払われるという保険です。ケガに関する保険金の支払われ方には、「日数払い」と「部位症 状別払い」の2つの種類があります。支払金額は、症状に応じて10万円・30万円・50万円・100万円と金額としては大きいものではありませんが、当面の生活費を捻出する方法として活用するとよいでしょう。

 

その他、ご加入の傷害保険、医療保険、生命保険、各種共済の内容によっては、一定額の保険金が支払われる場合があります。

 

ご自身の保険証券でなく、ご家族の保険証券についてもきちんと確認しましょう。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 弁護士法人 あずま綜合法律事務所
http://www.jiko-fukuoka.jp/
住所:福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号
上ノ橋ビル3階
TEL:092-711-1826
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

PageTop