交通事故コラム

2015.04.15更新

頚椎や腰椎の変性と素因減額

交通事故により後遺症が残ったら、自賠責保険での後遺障害等級認定が済んだ後にその認定等級に応じて損害額を算定し、保険会社に損害賠償請求をすることになります。

交通事故を原因とする怪我の中で最も多いのが頚椎捻挫ですが、仮に、頚椎捻挫で後遺障害14級と認定された場合には、この14級を前提に算定した損害額を請求することになるのです。もし、被害者の方に事故前から頚椎や腰椎に脊柱管狭窄などの変性(加齢による身体の変化)、椎間板ヘルニア等が認められた場合、相手方保険会社が既存障害があるとして「素因減額」を主張してくることがあります。「素因減額」とは、損害の拡大に被害者の素因が影響している場合に、この影響を考慮して損害賠償額を減額することをいいます。保険会社の言い分としては、「14級相当の後遺障害が残ったのは、もともと事故前から変性があったせいであるから、その分賠償額を減額してください」ということです。

しかし、保険会社がこのように素因減額を言ってきても、決して言いなりになる必要はありません。最高裁は、過去に素因減額が争いになった事案において、身体的要因について素因減額が認められるのは、当該身体的要因が「疾患」にあたる場合に限られるとの判断を示し(最判平8.10.29)、また、その他多くの裁判例も、身体的要因が加齢性のものである場合には、それが被害者の年齢に照らし不相当なものでなければならず、事故による受傷と年齢相応な加齢性要因が相まって症状が出現したような場合には素因減額は認められない、と判断しているからです。

保険会社が一方的に素因減額を主張してきたとしても、自身の変性等が年相応な加齢によるものであることを医学的に反論すれば、素因減額との主張を退けられる可能性は大いにあるといえます。そのためには、診断書や医師の意見書等きちんと取り付けることが重要です。あきらめずに、専門家にご相談ください。

 

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